情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験

「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)情報処理技術者試験センターが実施しています。

 情報処理安全確保支援士(以下、支援士)試験は、情報処理技術者試験とは別の試験です。それまで情報処理技術者試験の1つだった「情報セキュリティスペシャリスト試験」が移行し2017年から始まったもので、サイバーセキュリティ分野における専門家の育成と確保を目的に実施されます。支援士の資格は、合格後に登録が必要(有料!)な点と3年単位の講習受講が義務付けられる点(有料!)が情報処理技術者試験の資格と大きく異なります。

 なお、両資格とも国家試験ですが取得していなくてもシステムの仕事に携わることは出来ます。

認定されるためには

●情報処理技術者試験には12の資格試験、支援士試験には1つの資格試験があります。
●対象レベルは基礎から高度まで分かれていますが取得の順番に制約は無くそれぞれ単独で受験することができます。

●試験方法

筆記とCBT方式があります。

CBT方式は、試験会場に設置されたコンピュータを使用して実施する試験で受験申込み時に試験日時と試験会場を選択します。

CBT方式は、ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験で実施されています。

●午前Ⅰ試験の免除制度(対象:高度試験または支援士試験)
応用情報技術者試験に合格か、または、いずれかの高度試験または支援士試験に合格か午前Ⅰ試験で基準点以上を取れば、その後2年間は受験が免除されます。

●基本情報技術者試験の午前試験免除制度

高校、大学、専門学校などでIPAに認定された講座を受講し修了試験に合格すると免除されます。

●支援士は試験に合格するだけでは資格取得とはなりません。合格後IPAに登録を申請し資格保持者一覧に登録されてはじめて資格取得となります。

費用と期間

●費用
受験手数料 一律7,500円(CBT方式で実施する試験区分は令和4年(2022年)3月までは5,700円)

 

※以下、支援士のみ必要

①登録に掛かる費用
 登録免許税 9,000円 +

 登録手数料 10,700円
②資格維持に掛かる費用
 オンライン講習(年1回) 20,000円 +
 集合講習(3年に1回)80,000円

●試験の実施タイミング

筆記方式の試験は春(4月第3日曜)と秋(10月第3日曜)に行われます。申込みは試験日の2,3ヶ月前です。

CBT方式の場合、情報セキュリティマネジメント試験は7/1~7/20頃(上期)と12/1~12/20頃(下期)に行われ、基本情報技術者試験は5/1~6/20頃(上期)と10/1~11/20頃(下期)に行われます。ITパスポートは通年実施です。

受験にあたり受講が必要な講座や資格取得順序に関する制約はありません。

難易度と評価

●難易度

合格率は下表のとおりです。

基本情報でも20%台となかなか難関そうに見えますが、実は情報処理試験は会社に命じられてとりあえず受験に来る人が多く、このような人が沢山受験者数にカウントされているため合格率が低くなっており、普通に勉強して準備したときの合格率はもっと高いと思います。



※合格率は応募者数ベースでなく受験者数ベースです。

試験区分 内容・対象

試験時間・出題形式

※数字は分

実施

時期

合格率

(R2-3)

■情報処理技術者試験

<ITユーザ向け>      
ITパスポート試験 ITユーザの共通的基礎知識 四肢択一式 120  随時

58.8

※R2

情報セキュリティマネジメント試験 IT利用部門の情報セキュリティ担当に必要な基本的知識と技能

午前 四肢択一式 90

午後 多肢選択式 90
上下

52.4

※R3上

  <IT技術者向け 基本>      
基本情報技術者試験 高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能と活用力

午前 四肢択一式 150

午後 多肢選択式 150

上下

41.6

※R3上

  <   〃     応用>      
応用情報技術者試験 高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能と確立した方向性

午前 四肢択一式 150

午後 記述式 150
春秋

24.0

※R3春

  <   〃     高度>      
ITストラテジスト試験 経営とITを結びつけ基本戦略を策定・提案・推進する

午前Ⅰ 四肢択一式 50

午前Ⅱ 四肢択一式 40

午後Ⅰ 記述式 90

午後Ⅱ 論述式 120

15.3

※R3

システムアーキテクト試験 ITストラテジストによる提案を受けて要件定義と設計を行う

16.5

※R3

プロジェクトマネージャ試験 ITプロジェクトの管理運営者として計画立案と人材資源の確保を行い予算・納期・品質達成に責任を持つ

15.1

※R2

ネットワークスペシャリスト試験 ネットワーク技術を活用し最適なIT基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守にて中心的な役割を果たす

(午後Ⅰまでは同上)

午後Ⅱ記述式 120

12.8

※R3

データベーススペシャリスト試験 データベース技術を活用し最適なIT基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守にて中心的な役割を果たす

15.8

※R2

エンベデッドシステムスペシャリスト試験 組込みシステム開発に関する知識や技能を活用し、最適な基盤設計・構築・製造を主導的に行う

16.4

※R2

ITサービスマネージャ試験 IT全体の安定稼働を確保し障害時には被害の最小化を図り安全性と信頼性の高いサービスを提供する ITストラテジスト試験と同じ

15.0

※R3

システム監査技術者試験 ITシステムのリスク及びコントロールを総合的に点検・評価し結果を経営層に報告し改善を勧告する

15.3

※R2

■情報処理確保支援士試験        
情報処理安全確保支援士試験 情報セキュリティに関する知識・技能を活用し安全なITシステムの企画・設計・開発・運用を支援する

午前Ⅰ 四肢択一式 50

午前Ⅱ 四肢択一式 40

午後Ⅰ 記述式 90

午後Ⅱ 記述式 120

春秋

21.2

※R3春